たい地面に叩きつけられる…!
そう思った瞬間、暖かく柔らかい何かに受け止められました。
顔を上げると、白い大きなライオンがいました。

その青い瞳に魅入ってしまいましたが、
我に返って辺りを見渡すとシロクマも氷山も、もうどこにもありません。

ライオンが雷のような音で、でも猫のように、喉を鳴らします。

『とうとう、ここまできたか。
ワタシも、シロクマと共に右を守り、同じ風景を見てきた。
右のメディスンにして、男性性を守るもの。
しかし、同時に長い眠りの中にいた。


自分を小さく弱いと感じ、力や安心を外に求めたキミにとって、

ワタシと出会う事が、一番難しい事だっただろう。

真の強さは、大きさやパワーにあるのではなく魂そのものにある。
反対に、表面的な力は、キミを見失わせキミ自身を忘れさせてしまう。
恐れと欲望のゲームに駆り立てられた自動人形となっていく。

この姿が、キミの花嫁衣装と同じく白いのは、何故かな?


それは、キミの強さが、無垢な鋭い純粋性と感性にあるからだ。
しかし、自分を見失っていたキミは、それを強さだと思わず、脆さだと思った。
中心のメディスン、小さなトンボが本当はドラゴンであると思い出すまでは、

ワタシは痩せて、か細い仔猫に過ぎなかった…。

その白いベールは今や、わたしのタテガミとなった。これからは、共に前を見ていこう。』


驚きに、胸が震えました。

ワタシがワタシ自身を、小さな物語、小さな蜘蛛の巣に閉じ込めていたなんて。
ため息をつき、ワタシはホワイトライオンに寄りかかりました。

この美しいライオンをワタシの一部として、生きることが出来るだろうか…。
以前のワタシなら、尻込みするしかなかったでしょう。

でも、これまでの旅がワタシを変性していました。
9ひきのアニマルと共に歩んでいけば良いのです。

これまでのように、これからも。
夢見の旅、メディスン達との結びは終わりました。

もう彼らを、忘れない。ワタシはワタシを忘れない。

そして、ここから新たに赤い道の旅が始まる…。
彼方のアナタといつか出会い、そして結ばれるために。


ANIMAL MEDICINE LIST


● ライオン  Lion

‐リーダーシップ‐

ライオンをはじめ、北米ではマウンテンライオン(ピューマ)
南米ではジャガーなど、大型猫科動物は世界各地の頂点捕食者です。

それ故、彼らはリーダー的メディスンとして知られ、
土地や国をまとめる王やリーダーの多くは大型猫科動物のメディスンを持ちました。

猫科動物特有の素速くしなやかな身のこなしは
「力」「意志」「体力」「優雅さ」「美しさ」を バランスする術を、教えます。


生存に必要なだけの獲物を狩り、 何も無駄にしない精神と知恵を持ち、
自らだけでなく仲間の責任をも背負える強い信念と不屈の勇敢さ、
ライオンハートを象徴します。

それゆえに扱い難いメディスンともされてきました。
また 雌ライオンは、深い愛情を子供に注ぐハンターとして知られています。

このメディスンは、心と頭、そして体のバランスをとりしなやかで健やかな、
心身の強さを暗示します。

まずは自分が自分自身のリーダーであることが必要です。

カメハメハ大王の血を引く、ハワイの偉大なシャーマンの一人は
「現代はリーダーとなるためのイニシエーションが
失われてしまい、表層的な力が世界を支配している」
と語ります。

そのような力は、最後は種(一族)の衰退を招くため、リーダーシップとは程遠いものです。

白は、世界の多くで、純粋で汚されていないものを暗示します。

ホワイトライオンは、失われた無垢で純粋なリーダーの精神を表しているのかもしれません。